このところなかなか、東京へは行けなかったのですが、
ありがたいことに、東京に来たらCafe de Jewelry 呼んでくださいとか、ジュエラーさんからお会いしましょうとか、いろんな方からお声掛けいただいていたのですが・・・
所用で東京に行くことになり、スケジュールがタイトすぎましたので、どなたにも告知せずの2日間でした・・・ 楽しみにしていた皆様ごめんなさい。 いつの日か、是非・・・
歩いていると、かわいいビルを発見。
とりあえず写した写真を手がかりに、帰宅後調べてみると。
写真、江戸橋倉庫ビル
昭和5年生まれ なんだとか・・・
昭和一桁台の建造物はいいっすね。
カーブのライン アール っていうんですかね? 可愛い… たまんない。
今までは、工芸視点でジュエリーを見るという作業を続けてきましたが、
もっと、視点を深く持とうと思った時に、
ジュエリーを近代の文化史視点で見ることの相性の良さを感じ、目下、大量インプット中。
特に、心に引っかか嘉るのは、「モダニズム」というキーワード
資本主義の世界で、工業化が始まり、都市に人口が集中していく中で生まれてきた、建造物、文化、思想・・・
って、ところなのかな?
誰かの言葉を借りるのではなく、自分なりに、モダニズムとはなんであったのか? を、言葉で表現できるよう、ひたすらものを見て、年代を知る を、繰り返して、
自分の中のぼんやりとした感覚と、すり合わせていき、具体化していく作業・・・
何かを語るのであれば、頭でっかちに情報を仕入れて、ぼんやりとした概念だけで語るのではなく、
実際に見た、行った、触った 等の積み重ねを背景にした言葉で語りたい。
おっと脱線。
これ、書いとかないと、やる仕事が多すぎて、絶対記憶の彼方へ行きそうだから、
とりあえず、書とめとかなければ…
んで、三菱一号美術館
目的は… 建物も行ってみたかったところなんだけど、目的は「ショーメ展」
素晴らしかった。
入って早々の展示は裏にも回れる展示で、表側は見向きもせず、裏側に回って凝視していたのでかなりあやしい人間と化していましたが…
いや~、アンティークジュエリーにもピンからキリまでありますが、裏側の仕上げもビシッとやってるアンティークジュエリーは本当に美しいですね。
時間が本当に無かったので、なかなかゆっくり見れませんでしたが、
ティアラがズラーっと並んだ展示もありましたが、
モダニズムとは何だろう って事が最近の自分の中のテーマなので、
やっぱり、アンテナに引っかかってくるのが、1920年代のジュエリーだったりする。
この時代のジュエリーは、顧客が、王侯貴族だけではないという事と、
文化的には、ファッションも現代によりつながっているわけですからね。
今まで、あまり意識してこなかったけれども、
年代別のファッションのスタイルも、頭にインプットしていかなきゃ・・・ という課題が・・・
まぁ、そんなことはさておいて、
良い展示と、それを可能にする箱、つまり建造物。
1894年 つまり、明治27年 に建てられた「三菱一号館」(ジョサイア・コンドル設計)の復元。
見てくれだけ似せたプレハブみたいななんちゃって復元とは違い、ずしっと本格的で、満足のいく雰囲気でした。素人目線ですが…
で、次は、原美術館・・・
竣工は1938年 つまり、昭和13年(渡辺仁)
昭和初期、モダニズムを取り入れた建造物
原邦造さんという実業家の邸宅だったそうですが、実業家の邸宅 ってところも近代らしさがあってよいなぁと・・・
朝香宮邸(庭園美術館)が、1933年(昭和8年)ですから、ほぼ同時代のちょっと後。
旧朝香宮邸が素晴らしいのは当たり前ですが、
原美術館もなかなかよかった・・・
これが、もっと時代をさかのぼる明治の建造物とかになると、唐草とか、いろんな彫りや、壁紙の装飾で飾っていると思うのですが、それはそれで良いとして、
モダニズムには、ごてごてとした装飾を排除していった先の美しさ、完全に装飾を否定しているのではなく、省けるものはどんどん排除していったなかでの装飾に美しさがありますね。
次は、蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)
岡啓輔さんの著書に大いに刺激を受け、
2018.08.18 バベる! 自力でビルを建てる男 岡敬輔著
今回、絶対行ってみたい!
と、思ったスポット
タクシーの運転手さんに、この建物を見るために福岡から来た。
と、伝えるとあんぐりしてました[E:#x1F4A6]
モダニズム建築が、削って削って引いて引いての引き算の建築であるならば、
この建造物は、足し算の建築。
モダニズム建築が思想重視で、デザイナーがいかに過剰感を抑えるかという思想で設計したものを作り上げたものとするならば、
こちらは、作る喜びの塊。
過剰感がありすぎて、自分の中で消化できないくらいの塊でした。
ここに人が住むという事はどういう事なのか、完成してからもう一度足を運びたい。
蟻鱒鳶ルの隣には、
秀和田町レジデンス 竣工1982年
そして、クウェート大使館 1970(昭和45)年 丹下健三
翌日、
これまた可愛いビルを発見
鷹岡ビル 1935(昭和10)年 谷口忠
機能性を旨として、装飾を省いて省いて省いて省いた先に残った装飾が可愛いですね。
そして・・・
国会議事堂 衆議院の見学。
正面で降りたら、見学は真裏との事。
まさか、見学は裏から なんてことはないですよね?と、タクシー運転手さんと会話しながら降りたのにまさかの展開…
裏側まで結構遠い・・・ 東京は、建物も、駅もデカイし、街も広いし、とにかく大きな街だ…
入口?じゃなくて、一つ手前の入り口だったか?この可愛い装飾に気分上がる。
これは、昭和中期っぽい雰囲気だけど、建物はもっと古い。
この装飾はいつごろできたんだろうか??
目が見えない方々のための模型なんだとか
内部は、会議場しか撮影できなかったが、廊下もなにもかも素晴らしかった。
国会議事堂は、完成は昭和11年だが、着工は大正9年
当初は、鉄骨煉瓦造りで計画されたが、鉄骨鉄筋コンクリートに変更されたとか。
モダニズム的なものと、それ以前のものが混ざっている感じか?
こういうものが無料で見れるとか知らなんだ。
日本橋
19代目で、明治44年生まれとか・・・
そうそう、社会を大きく変化させつつ世界の表舞台に出る時代。こういうやや威圧感あるのも明治なんよね。
熈代勝覧(きだいしょうらん)
江戸時代の日本橋付近の絵
皆にこにこ笑っている。現代なら、無表情か、スマホを見ているかの人ばかりだろうな。
幸せっていったい何だろう
築地市場に寄った時に見えた、ただものならぬ雰囲気の建物・・・
調べてみると、
築地本願寺 1934(昭和9)年竣工 設計:伊藤忠太 の一部でした。
何だかとんでもない建造物のようで、いつか行ってみたい・・・
和光 時計塔 1932(昭和7)年
行って食してみたかった
ユーゴ&ビクトールのソフトクリーム
カカオ70%のカカオ感が良い
福岡にはないねぇ…
甘さが強調されていないので、まさかのおかわりしてみたかったが、我慢・・・
行けたら良いなぁと思っていたソニーパーク
建物を記憶に残すコンセプトかと思いきや、
意外と昭和な雰囲気は残っていたものの隠されていました。
タイルが可愛い
ソニーはウォークマンを1979(昭和54)年に発明する。
ソニービルの竣工は1966(昭和41)年 設計:芦原義信
工業社会、マス、大衆文化 から、
一人一人が好きな音楽を持ち歩ける、個の時代を切り開いた企業。変形タイルが見れてよかった。このタイルは昭和41年なのか?時代を先取ったビルだったんだろう。
予定の中に、建造物巡りを思いっきりぶっこんだ形になりましたが、
森美術館での建築の日本展を押し込む時間的スペースはなく、行けなかった…
とりあえずここまで~
2日間で、集中して「モダン都市・帝都東京」を精力的に巡ったのですね。魅力的なスポットばかりです。今、ちょうど大正・昭和初期の東京に関する本を読んでいて、銀座和光ビル、原美術館、山崎商店ビル(現田中貴金属店で星Sマークの装身具メーカー)は、渡辺仁という建築家が設計したそうです。うつくしいですよね。
私も、少し前に、ショーメ展に行きましたが、展示物と建物、両方堪能しました!
ナカシマ様 コメントありがとうございます。
福岡市にはこのころのビルがほとんどなく、
東京が羨ましく思いました。
原美術館の設計者と、和光ビルの設計者は同じ方なんですね!
年代と、設計者も覚えていった方が系統がわかりやすそうですね。
しかも、田中貴金属さんは、もともと山崎商店だったんですね💦 気付かなかったです…
東京の方に住んでいても、戦前の建築を精力的に集中して見ることは普段なかなか無いですし。考えたらもったいないですね。ところで今年の6月初旬に、一泊でしたが北九州市に出張で出かけました。門司も、仕事の合間を縫って行ってみたのですが、明治の洋風建築が町中に溢れていて感動しました!なぜ、北九州のあたりに、立派な明治の建物が残っているのかと思ったのですが、おそらく「石炭」関連産業がもたらした文化的な遺産なのでしょうか。初めての九州でしたが、とても感激しましたし、またゆっくり旅行に行きたくなりました。
門司のモダニズム建築では「門司電気通信レトロ館」(1924年)(山田守設計)が、とてもよかったです。
北九州に来られたんですね!
下関の唐戸と、門司港は古い建物多く残ってますね。
鉄の時代というか、工業化の時代というか、開国以来港に資本が集まっていたんでしょうかね?時代の大きな流れを感じますね。
そんなことを考えていると、
神戸や、横浜もじっくり見てみたくなりました…