2018/8/4
1ヶ月半ほど前に、とある方から、製作のご相談が…
製作に関しては、ちょっとした爪の大きさだったり、ルースで見ている状態と、枠にセットされた状態で石の印象が変わったり、とにかく繊細な仕事なので、基本的にはあまり受けたくありません・・・
予算、納期は問わない、何度作っても、理想のものではなかった場合、その都度費用の負担はいとわない。失敗しても笑顔で許して下さる・・・などなど
という条件を認めてくださるなら、まぁやってみようかな
という気持ちになるのかもしれませんが、
基本的に、一発で理想のものができるとは思っていないので・・・
というのも、お客様の脳内のイメージを、私が完全に理解することはできず、それを製作してくださる側にお伝えしても、お客様のイメージがちゃんと伝わっている自信はありませんし、
伝えたとしても、理想のものができるわけではなく、
例えば、あれ?思っていたより爪が大きいなぁ・・・
なんてことも普通にあるわけで、製作に関して私が日常的に行っているわけではないので、
要するに、私にオーダーを受けるプロとしての自信がないという事になるんでしょうかね。
お金が入ればそれでよい
という考えであれば、何でも仕事を請け負って、納品していけばよいのでしょうが
本当に喜んでいただく
事を考えると、今回はちょっと違ったなぁ みたいな部分を引きずったまま、お客様に納品する可能性もゼロではないので、そういう事を考えるとちょっと心苦しくもあり…
もう一つは、自分は新品ピカピカのジュエリーよりも、時を経てなおその魅力が落ちていないようなものが好きなので、
本当に良いかどうかは時を経てみないとわからない。と、思っている節もあるかも…
(そういう事に気付けるので、こうやってブログ書いてみるのもやっぱり結構役に立ったりする)
とか、製作の依頼に関しては、モラトリアム人間状態に陥って、先に進めません・・・。
んで、話は戻りますが、
ご依頼を受けたケースが、自分が進めていたものと重なる部分があり、今回は受けてみることにしました。
正確にいうと、依頼を受けるというよりは、
とりあえず、こちらの方で作ってみますので、気に入ったら購入してくださいね。
という感じ・・・
これだと、失敗しても、お客様にリスクはなく、納品後がっかりされることもありませんからね・・・
その代り、納期は決めませんし、いつになるかわかりませんけど良いですか?
という提案をしましたところ、快く受けてくださり、
このプロジェクトがスタートしました。
と言っても、この記事を書くまでに早1か月半。
すすんだことと言えば、この記事を書いたことだけ・・・
さて、いつ出来上がる事やら…
納期を決めない自由を得るというのは結構心地よいもので、
その間、結構脳内で好きなだけ寝かせて熟成できます。
製作のプロであれば、そういう事はないのでしょうが、
製作のアマチュア。しかも、ジュエラーではなく、質屋。
こういうのを、回数こなせば、オーダーを受ける自信がつくのかもしれないし、
期待半分、不安半分。先が見えないのは結構楽しい。
そんな感じ・・・
2018/8/6
振られた〜😭
撃沈、、、
と、みせかけて、時間を置いて再アタックするけど。— 渕上清志(ヴィンテージジュエリー/肥前屋質店) (@fuchigami) August 6, 2018
いつもお願いしている職人さんは、腕に間違いはないけれども、
私が始めたいなぁと思っている制作に関しては、
長い時間かけて試行錯誤しながら
と、思っていたこともあり、同世代か、もしくは私より若い人で考えていましたが…
年齢もやや近いし、この人はピッタリじゃないか!
と、思った方にお話を聞いてみましたが…
今の時代は、1点ものの制作ではやっていけない。
今は、生き残るために、修理、仕上げ など、メンテナンスに特化していて、
制作の依頼は受けることができませんと言われました。😢
ガーン…
思っていた展開とちがーう。
いろいろ思うところはあるけれども、自分に熱がある限りは道は開けるという事で、
諦めずに頑張る。
&もう一件、別のところにも相談はいっていて、そちらはなんとかできそうな気配ではある。
ホントは、2つ作って比べてみたかったんだけどなー・・・
といった感じ。
9/18
どういうダイヤモンドを使うのか
ダイヤモンドって、どれも同じように見えても
細かい部分を見ると、結構違ってきます。
こだわりぬいて予算が高くなるのもちょっと違う気がしますし、
品位の劣るダイヤモンドでよいのか?というとそれも違う。
とか、そっから先の、4Cでは測れない部分について、どうしようかとか
いろいろ考えてしまうと、やっぱり止まってしまう。
これじゃいけない。
って事で、1石ソーティングに出してみました。
当初思っていたよりもちょっと大きなものになりましたが、
これを使うかどうかは別にして、
とりあえず1歩進んでみる。
思っていたものと違っていたらまた、別の方法を考える
考えすぎてしまう部分があるので、
少しずつ動くことを意識していこう。
2018/10/25
&オーダーの件で優柔不断が爆発して、モラトリアム状態が長かったですが、
現時点でのベストと思える解決法が出てきたので、次に進めます。
初めての試みで、頭の中の理想を形にするには蛹の期間が必要だなと。
止まっていた時間が進みだす。— 渕上清志(ヴィンテージジュエリー/肥前屋質店) (@fuchigami) October 25, 2018
アーム幅、アームの厚みをどうされるか聞かれ、
さて、どうしたものかとしばらく考え込んでおりましたが、
本日、このような形で進めてください
と、製作に関して、最終の指示をいたしました。
あとは、出来上がりを待つだけです。
納期は、お任せなのでまだわかりませんが、
そう長期間にはならないと思います。
細かい部分コンマミリ単位の調整の指示など私の能力を超えた問題に、1ヶ月ほど頭を抱えておりましたが、現時点でベストと思える解決法が見つかり、ホッとしているところです。
2018/11/18
よくやって下さっているとは思うが、細かなところが気になる。
変態すぎるかな?いや、そんなことはない。
お客様の満足だけでなく
自分も満足したい。
産みの苦しみぢゃ pic.twitter.com/wF18MRwJrS— 渕上清志(ヴィンテージジュエリー/肥前屋質店) (@fuchigami) November 13, 2018
オーダーは1回目で理想の形になるとは思っていませんでしたが、
出来上がりを受け取ってみると、何かが違う・・・
じっくり眺めて、修正箇所を踏まえて、もう一つ新たに作ってもらおうと思っていましたが、
修正可能とのことでしたので、お願いすることにしました。
で、受け取って、お客様へ連絡しようと思っていましたが・・・・
別の箇所で気になるところがあり・・・
という具合。
私がお願いするものであってもこのような感じなわけですから、
お客様の依頼を受けて、私と作り手さんで連絡を取り合ったとしても、
1回で理想の形になるとは思えない・・・
今回の依頼も、納期と予算を決めていなくてよかった・・・
日本国内で大量のジュエリーがリフォームされているけれども、
リフォームしたものの納得のいく出来のものはどのくらいあるのだろうか?
リフォームしたものの、気に入っていただけないことも多いだろうな
とか、そういうことを考えました。
2018/12/14
細かいことを気にしだすと、
あそこが微妙にとか、あそこをもうちょっとなんとかしたいとかいう箇所が際限なく出てきます。
現時点で、修正できる部分は全て行い。
もう一度作り直したとしても、完全に満足のいくものはできないだろう。というのは目に見えているので、どこかで折り合いをつけないといけないのですが。
現時点で、自分にできることは。ここまでだな。と、言い切れるものができました。
私が関わったという事を残したいという事と、作った者には責任を持ちたいという事と、やっぱり刻印っていろいろ大事ですよね。
って事で、VJJ RV3 の刻印を入れさせてもらいました。
理想を言えばキリがないのですが、誰にでもはできないものを作ったという自負も結構あります。
あとは、お客様にご満足いただけるかどうか?
というところが、ドキドキポイントですが、
自分の中では、もっとできるんじゃないだろうか?という思いはありつつの、
ここまでの再現は誰にでもはできないだろなという自負もあったりします。
まぁ、でも、お客様のご満足あってのものですからね。